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たいしょくん

退職前の準備

退職勧奨は会社都合? — 失業保険と希望退職・早期退職優遇制度

公的機関の計算例と一致することを確認済み最終更新: 本文 約3,200字

会社から退職するよう勧められて(退職勧奨)辞めた場合は、雇用保険法施行規則36条9号が「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと」を特定受給資格者(いわゆる会社都合)の理由に挙げています。厚生労働省の業務取扱要領は、事業主(又は人事担当者)から退職勧奨が行われて辞めた場合と、希望退職の募集に応じて辞めた場合にこれを適用するとしています。要領のいう希望退職の募集は、名称を問わず、人員整理を目的とし、措置の導入が離職前1年以内で、募集期間が3か月以内のものです。これにあたらない、企業整備による人員整理等の希望退職に応じた場合は、特定理由離職者に挙げられています。従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等への応募は、ハローワークの範囲の概要で、退職勧奨による離職にあたらないとされています。当てはまるかどうかは、客観的資料や離職者の申立てなどをもとに住所地のハローワークが判断します。

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退職勧奨で辞めたら、会社都合になるのか

失業保険でいわゆる会社都合と呼ばれるのは、主に特定受給資格者のことです。雇用保険法施行規則36条は、雇用保険法23条2項2号が厚生労働省令に委ねた理由を列挙していて、その9号が「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと」です。

業務取扱要領は、この理由を適用する場合として次の2つを挙げています。1つは、企業整備における人員整理等に伴う退職勧奨など、退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われて離職した場合です。人員整理に伴うものは例として書かれていて、人員整理に伴う退職勧奨に限るとは書かれていません。もう1つは希望退職の募集に応じて離職した場合で、要領はこの「希望退職募集」に条件を付けています(次の節)。

当てはまるかどうかを決めるのは、離職者の住所又は居所を管轄するハローワークです。要領は、離職理由の判定では「客観的資料、関係者の証言、離職者の申立等を慎重に判断する」としています。施行規則36条のほかの理由も含めた全体は特定受給資格者の範囲にまとめています。

(11) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

— 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要 特定受給資格者の範囲 2.(11)(ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)

会社から直接・間接に退職を勧められて辞めた人がこの項目に挙げられていますが、会社に以前から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などに応募して辞めた場合は、この項目にはあたらない、という意味です。

希望退職の募集に応じたとき — 要領が求める3つの条件

要領は、ここでいう「希望退職募集」を、名称を問わず、人員整理を目的とし、措置が導入された時期が離職前1年以内で、かつ募集期間が3か月以内のものとしています(50305 ロ (ヌ) b)。3つのうちどれかを欠く募集に応じた場合は、この基準にはあたりません。

ただし、この基準にあたらなくても、企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合は、要領 50305-2 ロ (リ) が特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)に挙げています。ハローワークの範囲の概要も、特定受給資格者の範囲の退職勧奨の項目に該当しない企業整備による人員整理等で、希望退職者の募集に応じて離職した人を、特定理由離職者の範囲に挙げています。特定理由離職者と特定受給資格者の違いは自己都合と会社都合の違いにまとめています。

一方、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募して辞めた場合は、範囲の概要が退職勧奨の項目にあたらないとしています(前の節の引用)。この場合に特定理由離職者にあたるか、離職理由による給付制限がつくかは、当サイトが確認した業務取扱要領と範囲の概要には書かれていません。扱いは住所地のハローワークに確かめてください。

たとえば、会社が希望退職を募集し、それに応じて辞めたとします。この場合は、募集が人員整理を目的としているか、その措置が導入されたのが離職前1年以内か、募集期間が3か月以内かの3つが問われます。どれかを欠いていても、企業整備による人員整理等での募集であれば、特定理由離職者にあたるかが問われます。どれにあたるかはハローワークが判断します。

この場合の「希望退職募集」とは、希望退職募集の名称を問わず、人員整理を目的とし、措置が導入された時期が離職者の離職前 1 年以内であり、かつ、当該希望退職の募集期間が3 か月以内である場合をいう。

— 雇用保険に関する業務取扱要領 50305 ロ (ヌ) b(厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(一般被保険者に対する求職者給付・第4)」(令和8年4月版))

3つのうちどれか1つでも欠けると、この基準にはあたりません。

会社の働きかけで辞めた場合の、要領と範囲の概要での位置づけ
辞め方書かれている条件位置づけ
退職勧奨を受けて辞めた退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われて離職したこと。人員整理等に伴う勧奨は例として挙げられている特定受給資格者の基準(施行規則36条9号、要領 50305 ロ (ヌ) a)
希望退職の募集に応じて辞めた名称を問わず、人員整理が目的で、措置の導入が離職前1年以内、募集期間が3か月以内であること特定受給資格者の基準(要領 50305 ロ (ヌ) b)
上の条件にあたらない、企業整備による人員整理等の希望退職の募集に応じて辞めた要領 50305 ロ (ヌ) にあたらないこと特定理由離職者(要領 50305-2 ロ (リ)。範囲の概要の特定理由離職者の範囲にもある)
解雇予告通知のあとに自分から辞めた1年以内に解雇される場合に限る事業主から直接の退職勧奨がなされたものと解され、(ヌ) にあたる(要領 50305 ロ (イ))
早期退職優遇制度等に応募して辞めた従来から恒常的に設けられている制度への応募であること範囲の概要の退職勧奨の項目にはあたらない。給付制限の有無などは、当サイトが確認した資料に書かれていない
出典: e-Gov 法令検索 雇用保険法施行規則36条(法23条2項2号の厚生労働省令で定める理由) / 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(一般被保険者に対する求職者給付・第4)」(令和8年4月版) / ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」

解雇予告のあとに自分から辞めたとき

解雇予告は、使用者が労働者を解雇しようとする場合にする予告で、労働基準法20条1項に定めがあります。要領は、事業主が解雇予告通知をしたあと(1年以内に解雇される場合に限る)に労働者が自分から離職した場合は、事業主から直接の退職勧奨がなされたものと解されるため、退職勧奨の基準((ヌ))にあたるとしています。

たとえば、解雇予告通知を受け取ったあと、予告された解雇の日を待たずに自分から退職を申し出て辞めた場合です。要領は、1年以内に解雇される場合に限って、この場合を事業主から直接の退職勧奨がなされたものと解しています。実際にあたるかどうかはハローワークが判断します。

解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)は、施行規則36条1号が挙げる別の理由です。

特定受給資格者と判断されると変わること

ハローワークに特定受給資格者と判断されると、正当な理由のない自己都合退職と比べて、離職理由による給付制限・受給資格の要件・所定給付日数・国民健康保険料の軽減が変わります。表には、企業整備による人員整理等の希望退職で特定理由離職者と判断された場合の扱いも並べました。この場合の所定給付日数は、就職困難者にあたる場合を除き、一般の離職者の表です。

給付制限の側から見ても、業務取扱要領 52203 は、直接若しくは間接に退職することを勧奨されたことにより退職した場合と、希望退職者の募集に応じて退職した場合を、退職するについて正当な理由があり給付制限を受けない場合に挙げています。なお書きで、(ヌ) 以外の企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合も、この基準にあたるとしています。

所定給付日数の具体的な日数は早見表で確かめられます。受給資格の要件の数え方は受給資格と被保険者期間の数え方、国民健康保険料の軽減と届出は国保の失業軽減にまとめています。

退職勧奨・希望退職で辞めた場合に、ハローワークの判断で変わること
項目正当な理由のない自己都合特定理由離職者と判断された場合特定受給資格者と判断された場合
離職理由による給付制限原則1か月(離職日が2025年4月1日以降の場合)なしなし
受給資格の要件離職前2年間に被保険者期間12か月以上離職前1年間に被保険者期間6か月以上(2年間に12か月以上でもよい)特定理由離職者と同じ
所定給付日数一般の離職者の表(90〜150日。就職困難者は別の表)一般の離職者の表(就職困難者は別の表)特定受給資格者の表(90〜330日。就職困難者は別の表)
国民健康保険料の軽減対象外対象(国民健康保険の被保険者で、基本手当の受給資格がある人に限る。離職時に65歳以上の人を除く。市区町村への届出が必要)特定理由離職者と同じ
出典: e-Gov 法令検索 雇用保険法33条(給付制限) / 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除されます」 / 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(一般被保険者に対する求職者給付・第4)」(令和8年4月版) / 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(一般被保険者に対する求職者給付・第9〜第12)」(令和8年8月版) / e-Gov 法令検索 雇用保険法13条(基本手当の受給資格) / e-Gov 法令検索 雇用保険法22条(所定給付日数) / e-Gov 法令検索 雇用保険法23条(特定受給資格者の所定給付日数) / ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 / e-Gov法令検索「国民健康保険法施行令」(第29条の7の2 特例対象被保険者等の給与所得を百分の三十とする算定の特例)

離職票の書かれ方と、持っていく資料

離職票-2の離職理由の欄では、希望退職の募集・退職勧奨による離職と、早期退職優遇制度・選択定年制度などによる離職は、別の区分になっています。まず会社が離職理由を記入し、離職者は自分の主張する離職理由を選んで記入します。

会社の記入と自分の事情が違うと考えるときは、離職者記入欄で自分の主張する離職理由に○を付け、具体的事情記載欄(離職者用)に、離職に至った原因とその経緯などの具体的事情を書きます。ハローワークに行くときは、自分の主張する離職理由の内容を確認できる資料があれば持参します。

業務取扱要領は、解雇や退職勧奨など事業主からの働きかけによる離職を主張する場合は、離職理由について客観的資料等を収集し、離職者本人の申立ても十分聴いたうえで認定するとしています。離職者に客観的資料等をできる限り提示させ、必要に応じて事業所を管轄する安定所等に離職に至る具体的事情を照会したうえで確認する、という手順です。

リーフレットの持参資料の一覧は、通常、離職者が持っている可能性のある資料に限って掲載したもので、可能であれば一覧以外の資料も持参するよう求めています。退職勧奨を受けた場合について、一覧は個別の資料名を挙げていません。

判定の結果は、受給資格者証または受給資格通知に印字される「理由」の番号で知らされます。番号の見方は離職理由コード一覧に、辞める前に会社から離職証明書で離職理由の確認を求められたときのことも含めた異議の出し方は離職理由に納得できないときにまとめています。

離職票-2の記載方法のリーフレットが挙げる持参資料(この記事に関係する場合)
辞めた場合持参いただきたい資料(リーフレットの資料名)
希望退職の募集に応じた場合希望退職募集要綱(写)、離職者の応募の事実が分かる資料など
早期退職優遇制度・選択定年制度などで辞めた場合制度の内容が分かる資料
出典: 厚生労働省「離職された方へ — 離職票-2の離職理由欄等の記載方法について」

応じる前に確かめたいことと、相談先

退職勧奨に応じるかどうかや、退職の条件をどう話し合うかは、この記事では扱いません。

退職金を受け取る場合の税金の仕組みは退職金の税金に、次の仕事が決まる前に辞めるかどうかの考え方は仕事を辞めたいけど次がないときにまとめています。

自分の離職が特定受給資格者や特定理由離職者にあたるか、会社の記入が事実と違うときにどう申し出ればよいかといった個別の判断は、住所地のハローワークに相談してください。

よくある質問

退職勧奨に応じて辞めたら会社都合になりますか?
退職勧奨を受けて辞めたことは、特定受給資格者(いわゆる会社都合)の理由の1つに挙げられています。雇用保険法施行規則36条9号が「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと」を挙げ、業務取扱要領は、退職勧奨が事業主(又は人事担当者)より行われて離職した場合に適用するとしています。実際にあたるかどうかは、客観的資料や離職者の申立てなどをもとに、住所地のハローワークが判断します。
希望退職に応募して辞めた場合も会社都合ですか?
募集の中身で扱いが分かれます。業務取扱要領は、名称を問わず、人員整理を目的とし、措置の導入が離職前1年以内で、募集期間が3か月以内の希望退職の募集に応じた場合を、特定受給資格者の基準に挙げています。これにあたらない企業整備による人員整理等の希望退職の募集に応じた場合は、特定理由離職者(給付制限なし。所定給付日数は就職困難者にあたる場合を除き一般の離職者の表)に挙げられています。どれにあたるかはハローワークが判断します。
早期退職優遇制度に応募して辞めた場合はどうなりますか?
従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募して辞めた場合は、ハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」が、退職勧奨による離職の項目にはあたらないとしています。この場合に給付制限がつくか、特定理由離職者にあたるかは、当サイトが確認した業務取扱要領と範囲の概要には書かれていません。扱いは住所地のハローワークに確かめてください。
退職勧奨を受けたのに、離職票に自己都合と書かれていたらどうすればよいですか?
会社の記入と違う離職理由を、離職票-2に書いて示します。離職者記入欄で自分の主張する離職理由に○を付け、具体的事情記載欄(離職者用)に離職に至った原因とその経緯を書き、その離職理由を確認できる資料があれば、ハローワークに行くときに持参します。業務取扱要領は、事業主からの働きかけによる離職を主張する場合は、客観的資料等を収集し、本人の申立ても十分聴いたうえで認定するとしています。判定するのは住所地のハローワークです。
解雇予告を受けたあとに自分から辞めたらどうなりますか?
業務取扱要領は、解雇予告通知のあと(1年以内に解雇される場合に限る)に自分から離職した場合は、事業主から直接の退職勧奨がなされたものと解され、退職勧奨の基準にあたるとしています。実際にあたるかどうかはハローワークが判断します。
退職勧奨で辞めた場合、給付制限はつきますか?
特定受給資格者と判断されれば、離職理由による給付制限はつきません。雇用保険法33条1項の給付制限は、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇と、正当な理由のない自己都合退職が対象です。業務取扱要領 52203 も、直接若しくは間接に退職を勧奨されて退職した場合と、希望退職者の募集に応じて退職した場合を、給付制限を受けない場合に挙げています。正当な理由のない自己都合退職と判断された場合は、原則1か月の給付制限があります(離職日が2025年4月1日以降の場合)。

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出典と更新情報

最終更新: 2026年10月4日 / 次回の制度改定予定: 2027年8月1日

制度改定とサイト更新の履歴