失業保険をもらえるかは、退職理由より先に被保険者期間で決まる
基本手当の受給資格は、雇用保険法13条1項が「離職の日以前二年間に被保険者期間が通算して十二箇月以上」と定めています。会社都合の離職(特定受給資格者)と特定理由離職者は同条2項により「一年間に六箇月」へ読み替えられます。この「1か月」は暦の月ではなく、離職日から1か月ずつさかのぼった区間のうち賃金の支払の基礎となった日数が11日以上あるものを指します(同14条1項)。
条件は「期間」と「月数」の2つ
雇用保険法13条1項は、離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12か月以上あることを受給資格の条件としています。数えるのは在籍した長さではなく、条件を満たした月の数です。
会社都合で離職した特定受給資格者と、有期契約が更新されなかったなどの特定理由離職者は、同条2項により「2年間」が「1年間」に、「12か月」が「6か月」に読み替えられます。どの離職がこれに当たるかは離職理由の区分で決まります。
病気やけがなどで引き続き30日以上賃金の支払を受けられなかった期間があるときは、その日数を2年に加算します。加算しても4年が上限です(同条1項の括弧書き)。
- 一般の離職 — 離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上
- 特定受給資格者・特定理由離職者 — 離職前1年間に通算6か月以上
- 賃金を受けられない期間が30日以上あれば2年に加算(上限4年)
1か月の区切りは暦の月ではない
雇用保険法14条1項が使うのは「喪失応当日」という区切りです。離職した日に応当する日を各月にとり、その前日から前月の応当日までさかのぼった区間を1つの単位として数えます。月の1日から末日までではありません。
その区間のうち、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上あるものだけを1か月として数えます。11日に満たない区間は算入しません。
同項のただし書には端数の扱いがあります。被保険者となった日から最初の喪失応当日の前日までの日数が15日以上あり、その間の賃金支払基礎日数が11日以上あるときは、その期間を2分の1か月として数えます。入社月が丸ごと切り捨てられるわけではありません。
計算方法と根拠
区切りを決める
離職日の応当日の前日から、前月の応当日までを1区間とする(14条1項)
暦月ではないため、月末離職でない限り月をまたぐ。
1か月として数えるか判定する
賃金支払基礎日数 11日以上 → 1か月
入社時の端数を判定する
15日以上 かつ 賃金支払基礎日数11日以上 → 2分の1か月(同項ただし書)
11日で足りないときだけ80時間で数え直す
雇用保険法14条3項は、1項・2項で計算した被保険者期間が12か月(読み替えの場合は6か月)に満たない場合に限り、「賃金の支払の基礎となつた時間数が八十時間以上であるもの」も1か月として数えると定めています。
順番が決まっている点に注意が必要です。まず11日以上の月で数え、それで足りないときにはじめて80時間以上の月を加えます。どちらか有利なほうを最初から選べる仕組みではありません。
前に受け取っていると、その前の期間は通算されない
雇用保険法14条2項は、被保険者期間に含めない期間を3つ挙げています。転職を重ねた人ほど関係します。
1つ目は、過去に受給資格・高年齢受給資格・特例受給資格を取得したことがある場合の、その資格に係る離職の日以前の期間です。以前に失業保険を受け取っていれば、そこより前の加入期間は通算されません。
2つ目は、被保険者となったことの確認があった日の2年前より前の期間です。会社が加入手続きをしていなかった期間が長いと、さかのぼれる範囲に限りがあります。3つ目は、教育訓練休暇給付金を受けたことがある場合の、休暇開始日より前の期間です。
- 過去に受給資格を取得している — その離職日以前は通算しない
- 加入の確認があった日の2年前より前 — 通算しない
- 教育訓練休暇給付金を受けた — 休暇開始日より前は通算しない
判定そのものはハローワークが行う
本サイトは条文が定める数え方を説明しますが、受給資格があるかどうかの判定は行いません。「賃金の支払の基礎となった日数」に何が含まれるかは賃金台帳の記載によって決まり、個別の当てはめはハローワークの判断だからです。
離職票が届いたら、そこに記載された賃金支払基礎日数の欄を確認してください。記載に疑問があるときは、離職票を持ってハローワークに相談してください。
よくある質問
- 1年ちょうど働いた場合、受給資格はありますか?
- 在籍期間が1年でも、被保険者期間が12か月に達しているかは別に数えます。賃金支払基礎日数が11日以上ある月だけを1か月として数えるため、欠勤や休業が多い月があると12か月に届かないことがあります。判定はハローワークが行います。
- 週20時間ほどのパートでも被保険者期間になりますか?
- 雇用保険の被保険者であった期間が対象です。被保険者であれば、賃金支払基礎日数が11日以上ある月は1か月として数えます。11日で足りないときは、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月も数えます(雇用保険法14条3項)。加入の可否そのものはハローワークが判断します。
- 前に失業保険を受け取ったことがあります。前職の期間は足せますか?
- 足せません。雇用保険法14条2項1号により、過去に受給資格を取得したことがある場合、その資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間は通算されません。受け取ったあとに再び働いた期間から数え直します。
- 会社都合だと条件が軽くなるのはなぜですか?
- 雇用保険法13条2項が、特定受給資格者と特定理由離職者について「2年間」を「1年間」に、「12か月」を「6か月」に読み替えると定めているためです。離職が本人の選択によらない場合に、備える時間がなかったことを踏まえた扱いです。
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出典と更新情報
データ最終確認: 2026年8月26日 / 次回の制度改定予定: 2027年8月1日