退職後の手続き
離職理由に納得できない — 異議は離職票で、不服は審査請求
会社が書いた離職理由に納得できなくても、それがそのまま確定するわけではありません。離職理由は、事業主の主張と離職者の主張を離職票でそれぞれ把握し、資料で事実を確認したうえで、住所地を管轄するハローワークが判定します。異議があるときは、離職票-2の離職者記入欄に自分の主張する理由と具体的な事情を書き、確認できる資料を持って手続きをします。判定に不服があれば、雇用保険審査官に審査請求ができ、期間は原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月です(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条1項)。
自分の条件では、いつ・いくらになるか。 退職理由・年齢・勤続年数・月収の4つで計算します。
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決めるのは会社ではなくハローワーク
厚生労働省の離職者向けリーフレットは、離職理由の判定について、事業主の主張を離職証明書の離職理由欄で、離職者の主張を離職票-2の離職理由欄で把握し、それぞれの主張を確認できる資料で事実確認をしたうえで、最終的に安定所等で慎重に行うと説明しています。
判定するのは、離職者の住所または居所を管轄するハローワークです(業務取扱要領50306)。事業主と離職者の主張が食い違う場合は、客観的事実の把握と離職者の申立ての聴取を行って認定するとされ、判定は客観的資料、関係者の証言、離職者の申立て等をもとに行うと書かれています。
離職票に記載される区分は、事業主が提出した離職証明書と添付書類をもとにハローワークが離職票を発行するときの判断です。厚生労働省は、最終的な離職理由の判定は受給資格決定時に離職者本人に対する確認と調査を経て行うとしています。
判定の結果が印字される離職理由コードの意味は離職理由コードを確認する場所と、判定する人で扱っています。

したがって、事業主又は離職者の主張のみで判定するものではありませんので、離職理由を確認できる資料の持参をお願いしております。
会社の記載だけでも、本人の申告だけでも決まらず、資料による確認を経て判定されます。
異議は離職票-2に書いて、提出のときに出す
退職の前にも確認の機会があります。事業主向けの注意書きは、離職する日までに離職者に事業主の記載した離職理由を確認させ、離職証明書の「離職者本人の判断」欄で、事業主が○を付けた離職理由に異議が「有り」か「無し」かを○で囲ませ、氏名を記載させるよう求めています。
退職後に届く離職票-2では、事業主が○を付けた離職理由と、事業主用の具体的事情記載欄をまず確認します。異議がなければ、事業主と同じ理由の離職者記入欄に○を付け、離職者用の具体的事情記載欄に「同上」と書きます。
異議があれば、離職者記入欄のうち自分が主張する理由に○を付け、離職者用の具体的事情記載欄に、離職に至った原因とその経緯を書きます。契約期間の満了で、更新を希望したかどうかについて事業主の記載と自分の認識が違う場合も、同じ欄に具体的事情を書くよう案内されています。
離職票はハローワークで求職の申込みをするときに提出します。雇用保険法施行規則19条1項は、離職理由に異議がある場合は、離職票と離職の理由を証明することができる書類を提出すると定めています。
離職理由に異議があるときの離職票-2の記入
事業主の記載を確かめる離職票-2を受け取ったら
事業主記入欄で○が付いている離職理由と、具体的事情記載欄(事業主用)の内容を確認します。
自分が主張する理由に○を付ける
離職者記入欄のうち、該当する離職理由の□の中に○を記入します。
具体的事情を書く
具体的事情記載欄(離職者用)に、離職に至った原因とその経緯などの具体的事情を記載します。
署名する
記載した内容を確認して、離職者の署名欄に署名します。
資料を持ってハローワークへ行く受給手続きのとき
住所または居所を管轄するハローワークに、主張する離職理由を確認できる資料を持っている場合は持参します。
持っていく資料は、主張する理由で変わる
厚生労働省の離職者向けリーフレットは、離職理由欄の項目ごとに「持参いただきたい資料」を挙げています。下の表はその原文の抜粋です。
この一覧は、通常、離職者が持っている可能性のある資料に限って載せたものとされ、可能であれば一覧以外の資料も持参するよう書かれています。一覧にない資料が役に立たないという意味ではありません。
資料を持っていない場合でも、離職者記入欄への記入はできます。リーフレットは資料を「お持ちの場合は持参して下さい」と案内し、判定にあたって必要に応じてハローワークから事情を聞いたり、確認資料の提示を求めたりする場合があるとしています。
省令がどのような離職を特定受給資格者として挙げているかは特定受給資格者の範囲で整理しています。どの項目に当たるかの判断は、当サイトでは行いません。
| 主張する離職理由(離職理由欄の項目) | 持参いただきたい資料 |
|---|---|
| 労働契約期間満了による離職 | 労働契約書、雇入通知書、契約更新の通知書など |
| 解雇(重責解雇を除く)・重責解雇 | 解雇予告通知書、退職証明書、就業規則など |
| 希望退職の募集又は退職勧奨 | 希望退職の募集に応じた場合には、希望退職募集要綱(写)、離職者の応募の事実が分かる資料など |
| 労働条件に係る重大な問題(賃金低下、賃金遅配、過度な時間外労働、採用条件との相違等) | 労働契約書、給与明細書、賃金低下に関する通知書、口座振込日が分かる預金通帳、タイムカード(写)等時間外労働の時間が分かるものなど |
| 就業環境に係る重大な問題(故意の排斥、嫌がらせ等) | 特定個人を対象とする配置転換、給与体系等の変更の嫌がらせがあった場合には、配置転換の辞令(写)、労働契約書など |
| 職種転換等に適応することが困難であったため | 採用時の労働契約書、職種転換、配置転換又は転勤の辞令(写)など |
| 事業所移転により通勤困難となった(なる)ため | 事業所移転の通知、事業所の移転先が分かる資料及び離職者の通勤経路に係る時刻表など |
| 労働者の個人的な事情による離職 | 退職願(写)等その内容が確認できる資料 |
判定までの扱いと、結果の知らされ方
主張によって確認の仕方が違います。解雇や退職勧奨など事業主からの働きかけ、または職場の事情による離職を主張する場合は、離職者に客観的資料をできる限り提示させ、本人の申立ても十分に聴いたうえで、必要に応じて事業主側に離職の具体的事情を照会して確認するとされています(業務取扱要領50306ロ)。
倒産、定年、契約期間満了などは、主として事業所を管轄するハローワークの判断を参考に認定されます。ただし契約期間満了で、労働者が契約更新を希望していたことが確認できた場合は、判定が変わることがあるとされています(同50306イ)。
受給資格者証を作る時点で離職理由に疑義が残る場合は、いったん特定受給資格者・特定理由離職者以外の受給資格者として扱い、原則として初回の認定日までに離職理由を判定するとされています(同50308ホ)。その後に判定が変わった場合は、認定日に所定給付日数の変更が受給資格者証の訂正などで通知されます。
判定の結果は、受給資格者証または受給資格通知に印字される「理由」の番号で知らされます(同50308ト)。受給資格者証の記載事項は受給資格者証の記事で扱っています。
判定に不服なら、3か月以内に審査請求
雇用保険法69条1項は、失業等給付等に関する処分に不服のある者は雇用保険審査官に審査請求をし、その決定に不服のある者は労働保険審査会に再審査請求をすることができると定めています。請求先は、原処分をした行政庁の所在地を管轄する都道府県労働局に置かれた審査官です(労働保険審査官及び労働保険審査会法7条1項)。
審査請求は文書でも口頭でもでき(同法9条)、住所地を管轄するハローワークか、処分をしたハローワークを経由して行うこともできます(同法施行令3条2項)。期間は原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月で、正当な理由でこの期間内にできなかったことを疎明した場合は例外があります(同法8条1項)。郵便や信書便で出した場合、送付にかかった日数は期間に算入しません(同条2項)。
何を争うかで、対象になる処分と要領が教示するとしている起算点が変わります。給付制限を争う場合と、特定受給資格者・特定理由離職者に当たるかどうか(所定給付日数)を争う場合とで、下の表のように分かれます。実際の起算日は、処分のときの教示やハローワークの窓口で確かめてください。
審査請求をしても、処分の執行は止まりません(同法14条1項)。審査請求をした日の翌日から3か月たっても決定がないときは、審査請求をした人は、審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができます(雇用保険法69条2項)。審査官の決定に不服があれば、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に労働保険審査会へ再審査請求ができます(労働保険審査官及び労働保険審査会法38条1項)。処分の取消しの訴えは、審査官の決定を経た後でなければ起こせません(雇用保険法71条)。
審査請求は、審査請求人が原処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかつたことを疎明したときは、この限りでない。
期間は「処分を知った日の翌日」から数えて3か月です。
| 争う対象 | 審査請求の期間(要領の記載) |
|---|---|
| 給付制限の処分(正当な理由のない自己都合退職か、重責解雇か) | その処分のあった日の翌日から3か月以内 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者に当たるかどうか(所定給付日数) | 基本手当の支給終了に係る認定日の翌日から3か月以内 |
| 同上で、再就職手当の支給申請をした場合 | 再就職手当の支給決定の通知がなされた日の翌日から3か月以内 |
当サイトが判断しないことと、相談先
当サイトは、あなたの離職がどの理由に当たるか、審査請求で判定が変わるかを判断しません。判定するのはハローワークで、不服を審理するのは雇用保険審査官です。
審査請求は代理人によってもできます(労働保険審査官及び労働保険審査会法9条の2)。報酬を得て審査請求書の作成や提出の代行を業として行えるのは社会保険労務士等(社会保険労務士法27条・2条1項)、不服申立事件の代理を業として行えるのは弁護士等(弁護士法72条)です。個別の事情は、ハローワーク、社会保険労務士、弁護士に相談してください。
離職証明書の「離職者本人の判断」欄で「無し」に○を付けたあとに、離職票-2で異なる主張ができるかどうかを明示した一次資料は、当サイトでは確認できていません。該当する場合は、ハローワークの窓口で確かめてください。
主張は事実のとおりに書いてください。偽りの申告で給付を受けた場合の扱いは不正受給の記事で扱っています。
よくある質問
- 会社が自己都合と書いた離職理由は、会社都合に変えてもらえますか?
- 変えるかどうかを決めるのは会社ではなくハローワークです。離職票-2の離職者記入欄に自分の主張する理由と具体的事情を書き、確認できる資料を持って手続きをすると、双方の主張と資料をもとにハローワークが判定します。
- 審査請求の期限はいつまでですか?
- 条文上は、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月です(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条1項)。業務取扱要領は、給付制限なら処分のあった日の翌日から、所定給付日数なら支給終了に係る認定日の翌日からと起算点を分けているので、処分時の教示で確かめてください。
- 資料が手元にないと、離職理由に異議を申し立てられませんか?
- 資料がなくても、離職票-2の離職者記入欄に自分の主張を書くことはできます。厚生労働省のリーフレットは資料を「お持ちの場合は持参」するよう案内しており、判定にあたってハローワークが事情を聞いたり資料の提示を求めたりすることがあるとしています。
- 離職証明書で「異議無し」に○を付けてしまいました。もう争えませんか?
- 当サイトはこの点を明示した一次資料を確認できていないため、争えるとも争えないとも断定しません。離職理由の最終的な判定は受給資格決定時に本人への確認と調査を経て行うとされているので、ハローワークの窓口で事情を伝えて確かめてください。
- 審査請求はどこに出せばよいですか?
- 処分をしたハローワークの所在地を管轄する都道府県労働局の雇用保険審査官に対して行います。住所地を管轄するハローワークか、処分をしたハローワークを経由して出すこともでき、文書でも口頭でも請求できます。
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出典と更新情報
- 厚生労働省「離職された方へ — 離職票-2の離職理由欄等の記載方法について」
- 厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(一般被保険者に対する求職者給付・第4)」(令和8年4月版)
- 厚生労働省「特定受給資格者となる離職理由の判定基準」
- e-Gov 法令検索 雇用保険法施行規則19条(受給資格の決定)
- e-Gov 法令検索 雇用保険法69条(不服申立て)
- e-Gov 法令検索 雇用保険法71条(審査請求と訴訟との関係)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法7条(管轄審査官)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法8条(審査請求期間)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法9条(審査請求の方式)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法9条の2(代理人による審査請求)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法14条(原処分の執行の停止等)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法38条(再審査請求期間等)
- e-Gov 法令検索 労働保険審査官及び労働保険審査会法施行令3条(審査請求の経由)
- e-Gov 法令検索 社会保険労務士法27条(業務の制限)
- e-Gov 法令検索 弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
最終更新: 2026年9月26日 / 次回の制度改定予定: 2027年8月1日