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退職日を月末にするか、その前日にするか — 社会保険料が1か月分変わる仕組み

公的機関の計算例と一致することを確認済み最終更新: 2026年9月7日本文 約2,000

健康保険と厚生年金保険の被保険者の資格を失うのは、退職日ではなく退職日の翌日です(健康保険法36条、厚生年金保険法14条)。保険料は資格を喪失した月の前月までで算定されるため(健康保険法156条3項、厚生年金保険法19条1項)、3月31日に退職すると3月分の保険料がかかり、3月30日に退職するとかかりません。ただし会社の被保険者でなくなった月は国民健康保険と国民年金の負担がその月から生じるので、負担が消えるのではなく相手が変わります。

自分の条件では、いつ・いくらになるか。 退職理由・年齢・勤続年数・月収の4つで計算します。

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資格を失うのは退職日ではなく、その翌日

健康保険法36条は、事業所に使用されなくなった日の翌日から被保険者の資格を喪失すると定めています。厚生年金保険法14条も同じ構造で、該当するに至った日の翌日に資格を喪失します。

在職の最終日である退職日には、まだ被保険者です。3月31日に退職すれば資格喪失日は4月1日、3月30日に退職すれば資格喪失日は3月31日になります。この1日のずれが、次の節の月割りに効いてきます。

被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。

健康保険法36条e-Gov 法令検索 健康保険法36条(資格喪失の時期)

「その事業所に使用されなくなったとき」が2号に挙げられています。

保険料は資格を喪失した月の前月まで

健康保険法156条は保険料額を「各月につき」定めたうえで、3項で、前月から引き続き被保険者である者が資格を喪失した場合にはその月分の保険料を算定しないとしています。月の途中で辞めても日割りにはならず、その月がまるごと対象から外れる形です。

厚生年金保険も同じです。19条1項が被保険者期間を「資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月まで」と定め、81条2項が保険料を「被保険者期間の計算の基礎となる各月につき」徴収するとしています。

資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を1か月として被保険者期間に算入します(厚生年金保険法19条2項)。入社した月に辞めた場合は、この規定で1か月分が生じます。

前二項の規定にかかわらず、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。

健康保険法156条3項e-Gov 法令検索 健康保険法156条(被保険者の保険料額)

資格を喪失した月の分は、日数にかかわらず算定されません。

月末とその前日で何が変わるか

3月を例にとります。3月31日に退職すると資格喪失日は4月1日なので、喪失月は4月、その前月である3月までの保険料が算定されます。3月30日に退職すると資格喪失日は3月31日で、喪失月が3月になるため3月分は算定されません。

会社に勤めている間の保険料は事業主と折半です。3月分がかかる場合、自己負担はその半分になります。一方、3月中に資格を喪失すると、3月は国民健康保険と国民年金の第1号被保険者としての負担になり、こちらに事業主負担はありません。

国民健康保険料は前年の所得と自治体で額が変わり、任意継続という選択肢もあります。どれが安いかは人によって逆転するので、退職後の健康保険の選び方で両方を計算して比べてください。

3月に退職した場合の資格喪失日と、3月分の保険料
退職日資格喪失日3月分の健康保険料・厚生年金保険料
3月31日(月末)4月1日かかる(事業主と折半)
3月30日3月31日かからない
出典: e-Gov 法令検索 健康保険法36条(資格喪失の時期) / e-Gov 法令検索 健康保険法156条(被保険者の保険料額) / e-Gov 法令検索 厚生年金保険法19条(被保険者期間)

賞与の保険料も同じ理屈で決まる

保険料は標準報酬月額と標準賞与額の双方に率を乗じて算定します(健康保険法156条1項、厚生年金保険法81条3項)。賞与にも保険料がかかるということです。

資格を喪失した月の分は算定しないという規定は賞与にも及ぶため、賞与が支給された月に資格を喪失していれば、その賞与についての保険料は算定されません。

賞与そのものを受け取れるかどうかは別の問題です。支給日在籍要件のような取り決めは就業規則や労働契約によるもので、社会保険の規定とは関係がありません。

雇用保険の被保険者期間は別の数え方をする

健康保険と厚生年金が暦の月で数えるのに対して、雇用保険の被保険者期間は暦月ではありません。離職日から1か月ずつさかのぼった区間のうち、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上あるものを1か月として数えます(雇用保険法14条1項)。

受給資格に必要な月数が足りるかどうかは、この数え方で決まります。社会保険の月割りと同じ感覚で退職日を選ぶと1か月足りないことが起こりうるので、失業保険をもらえるかは被保険者期間で決まるで数え方を確かめてください。

住民税の境目は4月30日

社会保険料が月末で分かれるのに対して、住民税の一括徴収は別の日付で分かれます。地方税法321条の5第2項は、1月1日から4月30日までに退職した場合について、残りの月割額を最後の給与や退職手当等から徴収すると定めています。

6月1日から12月31日までの退職では本人の申出があった場合に一括徴収となり、それ以外は納税通知書での納付になります。仕組みは退職後の住民税で扱っています。

退職日は会社との合意で決まる

ここまで説明したのは、退職日が決まったときに保険料がどう計算されるかです。退職日そのものは就業規則と労働契約に沿って会社との間で決まるもので、希望どおりになるとは限りません。

期間の定めのない雇用について、民法627条1項は解約の申入れの日から2週間を経過することで契約が終了すると定めています。ただし実務上は引継ぎや有給休暇の消化と合わせて調整することになります。

本サイトは条文が定める数え方を説明しますが、個別の退職日の判断や会社との交渉は行いません。

よくある質問

月末に退職すると損ですか?
損得は前年の所得と住んでいる自治体で逆転します。月末退職ではその月の健康保険料と厚生年金保険料がかかりますが、事業主が半分を負担します。前日に退職するとその月は国民健康保険と国民年金になり、全額が自己負担になります。
3月30日に退職すると3月分の厚生年金はどうなりますか?
3月分は徴収されません。資格喪失日が3月31日となり、保険料は資格を喪失した月の前月までで算定されるためです(健康保険法156条3項、厚生年金保険法19条1項)。3月は国民年金の第1号被保険者として保険料を納めることになります。
賞与の直後に退職すると保険料はどうなりますか?
賞与が支給された月に資格を喪失していれば、その月分は算定されません。保険料は標準報酬月額と標準賞与額の双方に率を乗じて計算しますが、資格喪失月の分は算定しないためです。賞与そのものの支給要件は就業規則によります。
入社した月に退職した場合はどうなりますか?
その月が1か月として被保険者期間に算入されます(厚生年金保険法19条2項)。資格を取得した月に喪失した場合の特則で、同じ月に再び被保険者または国民年金の被保険者の資格を取得したときは除かれます。
退職日は自分で決められますか?
就業規則と労働契約によります。会社との合意で決まるものなので、条文の数え方を知っていても希望どおりになるとは限りません。期間の定めのない雇用の解約の申入れについては民法627条1項があります。

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出典と更新情報

データ最終確認: 2026年9月7日 / 次回の制度改定予定: 2027年8月1日

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